ご相談事例
2023年12月3日 日曜日
“戸籍法改正と読み仮名登録:名前のデジタル化への一歩”
今年2月、法制審議会は戸籍上の氏名に「読み仮名」をつける戸籍法改正の要綱案をまとめました。現在の戸籍法では、氏名に使用する漢字、ひらがな、カタカナなどの字についての制限はありますが、「読み方」については定められていません。
1993年に父親が長男に「悪魔(あくま)」という名前をつけた出生届を出した際に裁判となった事例がありますが、読み仮名に法律上の制限はないのです。
読み仮名の登録は過去にも検討されましたが、漢字の読み方にそぐわない読み仮名を付けた場合の処理で多くの実務上の問題が予想され、見送られてきました。しかし、今回はマイナンバーカードの普及など行政手続きのデジタル化の中で、読み仮名を活用することでシステム処理の正確性・迅速性・効率性を向上させることができるという理由から実現されようとしています。
読み方として認められるか否かについては、今後更に検討され、法務省が通達で示します。法務省によると、「アクマ」など反社会的な印象を与える読みは採用されない可能性が高いです。また、「高」を「ヒクシ」とするような漢字の意味と逆にする読み方や、「太郎」を「ジロウ」とするなど漢字から連想できない読み方は認められない見込みです。
一方で、「大空」を「スカイ」、「愛」を「ヒカリ」と読むなど漢字と関連する外国語や意味から連想される読み方は認める方向のようです。「キラキラネーム」に関しては、法務省は「社会的に通用し、漢字のイメージに沿った読みであると説明できれば基本的には戸籍に登録できる方向」としています。
私は息子の名前を決める際に姓名鑑定をしました。姓名鑑定には「五大真理」というものがあり、重要な五つの要素が定められています。そこで最も重要とされているのは「読み下し(読み方)」です。
例えば、佐々木という姓に「けんじ」という名をつけると「ささきけんじ」となりますが、氏名に「きけんじ(危険児)」という音が含まれていることから、推奨されません。姓名鑑定では、まず読み方・音が重要視されます。ちなみに氏名の画数は五つの要素の中で1割程度の影響しかありません。
戸籍法が改正されれば、読み仮名が登録されることになりますが、同時に読み仮名がデジタルデータとしても取り込まれることになります。
これからの社会ではAIが広い分野で活用され、AIの回答が人間の意思決定に大きな影響を与えることが見込まれます。やはりAIが判断に迷わないような命名が良いのではないかと私は思います。
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