司法書士をお探しなら白金高輪にあるリーガルオフィス白金へ

白金高輪の司法書士、相続登記、遺言、成年後見など、初回相談は無料!

お気軽にお問い合わせください。TEL 03-6277-3413 営業時間 9:00~20:00 土日9:00~17:00
フォームからお問い合わせ

成年後見

2025年7月8日 火曜日

本家の嫁が背負う祭祀と遺産の不均衡:法と慣習の狭間で

本家の墓を守る立場に置かれながら、遺産は一切承継しなかった、という話を聞くことがある。たとえば、夫に先立たれた長男の妻が、義父母の介護を行い、葬儀や法要を取り仕切ってきたにもかかわらず、相続人ではないため、遺産分割協議には関与できず、何の財産的利益も受けなかったケースである。その一方で、墓地の管理や仏壇の維持といった祭祀に関する責任だけは、慣習的に引き受けるよう求められたという。

 このような状況は、法制度上も説明がつく。民法897条は、系譜・祭具・墳墓の承継、すなわち祭祀財産の承継について、次のように定めている。

まず、地域や家の慣習に従うこと。慣習が明らかでない場合には、被相続人の指定によること。指定がなければ、家庭裁判所が決定することになる。そしてこの祭祀承継者は、必ずしも法定相続人である必要はない。

したがって、血縁関係のない「本家の嫁」であっても、祭祀承継者になることはあり得る。長年にわたり家の宗教的・儀礼的行事を担っていたことが評価されれば、なおさらである。

一方で、相続財産の承継については民法の規定に従う。相続人に該当しない者が遺産を受け取るには、被相続人の遺言や死因贈与契約などによる明示的な意思表示が必要である。それがなければ、法定相続人による協議で財産が分配され、相続人以外の者は除外される。

この構造により、遺産を受け取ることはできないが、祭祀の義務だけは引き受けるという状況が生じ得る。墓地の使用料や管理費、定期的な供養の手配といった負担が、祭祀承継者にのしかかることになる。

制度的には、祭祀財産と相続財産が別の原理で承継されるため、こうした事例は法的に矛盾しているわけではない。しかし、当事者にとっては、承継と報酬、責任と権利の関係が不平等に感じられる場面がある。

このような問題を回避するには、あらかじめ遺言などで明確な意思を示すことが有効である。祭祀を託したい相手に対して、相応の財産を渡す意向があるのであれば、それを文書に残す必要がある。また、関係者間での事前の合意形成も望ましい。

最近は墓じまいをするという話も聞くが、まだしばらくは残る問題だろう。制度と現実の乖離は、どの社会にも存在する。法的には正当であっても、当事者に不満や疑念が生じることは避けがたい。そうであるからこそ、制度の隙間を見据えた対応が求められる。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL

2024年9月2日 月曜日

東京家裁、戸籍謄本等の提出はコピー可に

家庭裁判所で相続放棄をする際、戸籍謄本等を提出する必要があります。
最近、この戸籍謄本等をコピーでも可とする裁判所が増えてきましたが、東京家庭裁判所も令和6年9月1日からコピー可となりました。

先ほど電話で確認したところ、発行からの有効期限は3か月以内とのことですが、提出する証明書の種類によって異なる可能性もありますので、事前に家庭裁判所にご確認ください。

https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/kosekiteisyutu/index.html?fbclid=IwY2xjawFCACFleHRuA2FlbQIxMAABHcA2DMgksjWt1Ra_jRSwnb-bpcjvFvcukKwm0SlxpACwnhzdxinG74Vfdg_aem_iLQB8_zWqU7AWklUSBT2pw

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL

2024年8月2日 金曜日

新紙幣とタンス預金

この7月、新紙幣が発行されました。新紙幣は、千円札、五千円札、一万円札の全てが刷新され、デザインとセキュリティ機能が一新されました。
新紙幣が発行されても、これまでの旧紙幣が直ちに無効になるわけではありません。引き続き使用することができます。日本銀行では、明治18年から現在までに56種類の銀行券を発行してきました。これらのうち現在発行している種類の他、既に発行されなくなった種類を含めて現在25種類の銀行券が有効です。昔あった100円札や1円札も有効です。
もちろん、旧紙幣の流通は徐々に減少していき、いずれ使用されなくなります。2,000円札がわかりやすいですが、法的に有効でも使用されなければ流通しなくなります。使用されなくなるのは、過去の例から考えると10年程度のようです。
使用されなくなった旧紙幣は日本銀行の本支店で交換できます。手数料はかかりませんが、日本銀行の窓口は少なく、窓口がない都道府県もあります。


新紙幣の発行では「タンス預金」にも注目が集まります。日本のタンス預金の総額は数十兆円に上ると言われています。
タンス預金は特に高齢者の間でその傾向が顕著です。要因は様々あるでしょうが、日本の成長期と共に所得を得てきたこと、バブルを経験して投資にリスクを感じていること、今の預金利息が低いこと、デジタル化に追いついていないことなどがタンス預金を支持する一因となっています。
新紙幣の発行には、タンス預金をあぶり出す効果も期待されています。旧紙幣はいずれ使えなくなるので、多くの人々が銀行に旧紙幣を持ち込んで交換を行うことになるでしょう。これにより、これまで隠されていた大量の現金が表に出てくる可能性が高まります。
相続税対策でタンス預金をしている人もいます。具体的には、現金を自宅に保管しておいて、相続財産として申告しない、もしくは少額に見せかけるという手法です。もちろんこれは脱税になるので、税務署に見つかれば厳しい罰則が科されます。
税務署には預金口座の調査権限があり、相続税の調査の際には被相続人やその家族の預金口座の動きを過去に遡ってチェックします(過去10年程度)。銀行は税務署から預金口座の問合せがあれば他の業務を差し置いて回答するそうです。なので、タンス預金として現金を引き出していた場合でも、その引き出しの記録から隠し財産が発覚する可能性はあります。
良からぬことを考える依頼者がいると、困るのは税理士や我々司法書士です。いずれも銀行の調査権限もないし、依頼者の家のタンスを調べるわけにもいきません。嘘をつき通してくれればいいかもしれませんが、中途半端に打ち明けられるとしばらく悩むことになります。
この新紙幣の発行を契機に、現金の管理や相続について見直す機会となればいいですね。また、新紙幣への切り替えを通じて、透明性の高い金融環境が実現することを期待しています。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL

2013年5月29日 水曜日

成年被後見人の選挙権回復

改正公職選挙法が成立して、成年被後見人の選挙権が回復しました。

7月の参議院選挙から、成年被後見人にも選挙権が認められます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130527-00000019-asahi-pol&1369680331

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL