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相続・遺言

2024年7月4日 木曜日

相続への誤解と専門家の役割

相続関係の相談が増えてきていますが、その中で、これまでの傾向にない相談がいくつかありました。

相続登記の義務化は令和6年4月1日に施行されましたが、これ以前の相続も対象になります。令和6年3月31日以前に亡くなっていて現在も登記がされていないケースも対象となり、登記をしないといけません。期限は3年以内であり、令和6年3月31日以前に亡くなった方の相続登記は令和9年3月31日が期限となります。

義務化となっても3年間の猶予はありますが、この3月までに相続登記をしないといけなかったと誤解をしている相談者が2人いました。2人ともやけに手続きを急いでいる様子だったので事情を聞くと、「相続登記が義務化になったから」と言いました。1人ならともかく、2人もいると自分が何か見落としているのではないかと不安になりました。

最初はこの誤解に驚きましたが、自分も仕事でなければ情報を隈なく見るわけではないので、相談者の身になって思いを巡らせてみると、あってもおかしくない誤解だと思いました。相続登記の義務化の認知度はまだまだ低いです。相続が一生に何度もないイベントであることからしても、周知されるには時間がかかるでしょう。おそらく3年後もまた慌てて相談にくる人がいるでしょう。

相続放棄でも誤解をしている相談者がいました。この相談者も非常に慌てている様子でした。親族が亡くなってまだ数日ですが、急いで相談したいとのことでした。

家庭裁判所でする相続放棄には期限があり、これは「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内とされています。なので死亡日から3か月以内ではありません。また死亡日を知った後でも、あるはずないと思っていた負債が後から見つかった場合などは、その負債が見つかったときから3か月以内となります。

一方、3か月以内であっても相続人が遺産に「手を付けてしまう」と相続放棄ができなくなります。相続放棄するのならば、故人(被相続人)の遺産を消費してはいけませんし、遺産で故人の未払金(医療費など)を清算したり、遺産で葬儀費を払うことも避けた方がよいです。

もちろん、どのような遺産があるかわからなければ相続放棄するか否かの判断はできないので、通帳を記帳したり、故人の自宅で遺品を調べるのは構いません。ただ、今回の相談者は遺品に一切触れてもいけないと思っていました。故人の自宅が賃貸で早く引き払わないといけないが、相続放棄するために遺品に手を付けられず、どうしたらよいかという相談でした。

こちらも最初は相談者の誤解に驚きましたが、話を聞いていくと理解できるところもありました。故人は独居で、相続人は故人の生活に関知していなかったので、故人との関わりが薄く、生前の様子を知らなければ、触れてはいけないのではという意識を持つこともあるだろうと思いました。

ネットには情報が溢れていますが、自分にとっての正解を読み取るのは難しいです。AIは対話型ですが、こちらが適格な情報を出さないと正解は返ってきません。テクノロジーは日々進化していますが、自分にもまだ役割があると感じた相談でした。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL