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2025年11月3日 月曜日
信じる者は救われ…ないかもしれない ー広告社会をAIで透かして見た日常ー
4か月程前、自分の写真を見て、思わず「太ったな」とつぶやいた。年齢のせいというより、明らかに日々の食生活の問題だった。これを機に糖質制限を始めた。きっかけはYouTubeで見た北里大学の山田悟医師の話で、緩やかな糖質制限なら続けられるかもしれないと思った。結果、4か月間で4キロ痩せた。
それからというもの、街でもネットでも「糖質オフ」「低糖質」と書かれた商品が目に入るようになった。また僕のスマホは、健康系サプリの広告だらけになった。これらを毎日目にすると、段々と欲しくなってくるが「本当に効果があるんだろうか?」という疑念も当然沸く。そして「騙されたくない」という思いが強くなる。
ある時、GoogleのAI「Gemini」のdeep searchで調べてみようと思った。広告や動画をスクリーンショットに撮って、「この情報は正しい?」と聞いてみた。Geminiは、企業の情報や信頼性、商品の実態を淡々と返してくれた。中には、会社が実在しないものもあったし、口コミが不自然という回答もあった。AIを通すことで、ひと呼吸おいて、冷静に判断できるようになる。
こうした詐欺まがいの広告が、なぜSNSや検索サイトに流れ続けるのか。不思議に思うかもしれないが、少し考えれば仕組みは明白だ。GoogleもFacebookも広告収入で成り立っている。誰が何を検索し、どんな広告に反応し、何を買ったか。そのすべてが商品化されている。広告は止まらないし、フィルターもかからない。それがビジネスモデルだからだ。
仮にAIが本気でフィルターをかければ、詐欺的な広告はかなり減るはずだ。それでもなくならないのは、プラットフォーム側の都合だけではない。人間の欲が、そこにあるからだ。「楽して儲かりたい」「痩せたい」「子どもに少しでも良い教育を」と願う気持ちは、誰にでもある。その隙を突く情報は、絶えることがない。
それが悪いとも言い切れない。ただ、そういう構造の上に今の情報社会は成り立っている。信じるか、疑うかの二択ではなく、自分で確かめる。AIはその手段のひとつとして、とても便利な道具だと感じている。
職業柄、自分は契約書や登記に日々接している。「一見まともに見えるが、どこかおかしい」という直感を磨く場面は多い。その感覚は、ネットの世界でも案外役に立つ。
すべてを信じないことではなく、少し立ち止まって確かめること。その姿勢が、糖質制限にも、詐欺防止にも、共通している気がしている。

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