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2024年11月18日 月曜日
兵庫県知事選とロスジェネ世代の未来-地方から始まる自律共生の時代
2024年11月、兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦氏。
この結果は、単なる地方自治の一幕にとどまらず、日本全体の政治構造に潜む変革の兆しを示すものだ。
斎藤氏は、既得権益と戦う「改革者」としてのイメージをSNSを通じて広く浸透させた。
特に、これまで政治に無関心とされてきた若年層の支持を得たことが、彼の勝利を支えた。
団塊世代が徐々に影響力を失い、ロスジェネ世代が次の人口ボリュームゾーンとなる今、この知事選は自律分散型社会への移行を象徴する出来事と言えるだろう。
オムロンが提唱するSINIC理論によれば、科学技術と社会は相互作用しながら進化し、今後は「自律共生社会」へと向かうとされている。
今回の知事選挙では、SNSやAIを活用した戦略が中心となり、中央集権的なマスメディアの情報支配を超える形で、地方からの声が政治に反映された。
斎藤氏に関するパワハラ疑惑や批判的報道が広がる一方で、県民の多くがその「改革者」としての姿勢を評価し、既存の権威や中央の論調に反発したのは、デジタル技術が生んだ新たな政治参加の形だといえる。
さらに、これからの10年間で団塊世代の減少が進む中、日本社会はロスジェネ世代に大きな注目を集めるだろう。
この世代は、就職氷河期という過酷な環境の中で社会に出た。
非正規雇用や低賃金を強いられた背景を持つ一方、競争社会や自己責任論を内面化している特徴がある。
既存の枠組みから外れた経験が、彼らの社会観や価値観に強く影響を与えている。
こうしたロスジェネ世代が、次の人口ボリュームゾーンとして社会を動かす力を持つようになるのは必然だ。
この世代が直面するのは、親世代の介護や自身の老後資金不足といった現実的な課題である。
その中で、労働市場での多様な働き方を模索し、フリーランスや起業、地方移住といった新たな選択肢を選ぶ人が増えるだろう。
同時に、デジタル技術を活用した新しい共助モデルを構築し、地域やオンラインコミュニティを基盤にした共生の仕組みを生み出していく可能性がある。
彼らは「見捨てられた世代」であるとの意識から、格差是正や社会的包摂を目指す活動に積極的に関わるだろう。
今回の兵庫県知事選で見られたように、中央集権的な構造から地方の自律的な判断へと重心が移りつつある現象は、SINIC理論が示唆する「自律共生社会」の到来を強く示している。
これは単なる地方自治の範囲を超えた、大きな社会変化の始まりだと言える。
デジタル技術の進展が情報の流れを分散化し、多様な声が社会を動かす時代。団塊世代が築いた中央集権的な社会構造に代わり、ロスジェネ世代が推進する自律分散型社会が、今後の10年で日本全体に広がる可能性を秘めている。
これからの日本社会は、地方や個人が主体となり、自らの意思で変化を起こしていく「自律共生」の時代を迎える。兵庫県での静かな革命は、その序章に過ぎない。
この動きが地方から全国へと広がり、新しい社会構造を築くきっかけとなることを期待したい。
団塊世代からロスジェネ世代へのバトンタッチは、日本社会に新たな変革をもたらす第一歩と言えるだろう。
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