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2025年12月31日 水曜日
静かな循環の中で― 年の終わりに、司法書士としての感謝を胸に ―

今年も多くのご相談に触れさせていただきました。
相続、登記、後見といった手続の背景には、必ず人の生活があり、人生があります。制度や法律は整っていても、それを使う人の気持ちが追いついていない場面に、何度も立ち会いました。そのたびに、司法書士という仕事は、書類を整える仕事であると同時に、社会と個人の間に立つ仕事なのだと、あらためて感じさせられました。
社会は、ときに冷たく、ときに理不尽に見えることもあります。
それでも、法律や制度が存在し、登記簿があり、手続が積み重ねられてきたからこそ、私たちは安心して生活を続けることができます。今年は、その「見えにくい土台」のありがたさを、例年以上に実感した一年でした。
日々の業務が成り立つのは、依頼者の方だけでなく、法務局をはじめとする関係機関、同業者の方々、そして社会全体が、黙々と自分の役割を果たしているからです。誰かが声高に主張しなくても、社会は静かに回り続けています。その循環の一部として仕事ができていることに、素直に感謝の気持ちを抱いています。
私生活においても、同じことを感じました。
仕事と家庭、役割と個人の間で揺れながらも、日常が崩れずに続いているのは、多くの人の支えや社会の仕組みがあってこそです。今年は「前に進む」よりも、「整える」「立ち止まる」ことを選ぶ場面が多くありましたが、それを許してくれる社会の懐の深さにも、救われてきました。
来年も、社会は変わり続けるでしょう。
制度も環境も、決して安定しているとは言えません。だからこそ私は、急がず、単純化せず、目の前の一つひとつの事案に丁寧に向き合っていきたいと考えています。それが、社会から与えられている役割への、私なりの応答だと思うからです。
一年の終わりにあたり、声高な決意表明はいたしません。
ただ、この社会の中で仕事を続けられたこと、日々を積み重ねられたことに、静かに感謝を申し上げます。
今年も、ありがとうございました。
来年もまた、社会の一隅を支える一人として、誠実に歩んでまいります。
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