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会社・経営

2023年12月7日 木曜日

法人設立(法人成り)のメリット・デメリット

  1. 時々ご相談のある法人設立のメリット・デメリットについて、一般的に言われることを上げます。
  2. 【メリット】
  3. ①税金の面での利点
  4. ・法人税の税率は、しばしば個人所得税の最高税率よりも低く設定されています。
  5. ・利益を再投資する際、法人化によって節税効果が期待できます。
  6. ・ 法人は経費として認められる項目が多いため、税負担の軽減が見込めます。
  7. ②信用力の向上
  8. ・法人は安定性や信頼性が高いと見なされることが多く、金融機関からの融資が得やすくなります。
  9. ・取引先からの信用も高まり、大規模な取引や長期契約を結びやすくなります。
  10. ③リスクの分離
  11. ・法人は個人とは別の法的実体であり、事業の負債は原則として法人に帰属します。
  12. ・個人の財産は、法人の負債から保護されるため、個人のリスクが軽減されます。
  13. ④後継計画の容易さ
  14. ・法人は個人に依存せずに存在し続けるため、経営者が変わっても事業を継続しやすいです。
  15. ・事業の後継者への移行がスムーズに行え、継続的な成長が期待できます。
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  17. 【デメリット】
  18. ①設立・運営コスト
  19. ・法人設立には登記費用、公証人費用などの初期費用が発生します。
  20. ・会計処理は複雑で、専門家の雇用や会計ソフトの利用が必要になることがあります。
  21. ②公開性の高まり
  22. ・法人は定期的に財務諸表を作成し、場合によっては公開する必要があります。
  23. ・企業の業績や経営状況が公になることで、競合他社に情報が露見するリスクもあります。
  24. ③税務上の厳格さ
  25. ・法人は個人事業主に比べて税務監査のリスクが高く、適切な会計記録の維持が重要です。
  26. ・不適切な税務処理が行われた場合、罰金や追徴税のリスクがあります。
  27. ④役員報酬の問題
  28. ・法人化すると、経営者の収入は役員報酬として扱われ、個人事業主時代と異なる税務処理が必要です。
  29. ・役員報酬の設定には制限がある場合があり、個人事業主時の収入管理の柔軟性が失われることがあります。
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  31. 私も司法書士を個人事業として起業し、10年目で法人化をしました。信用力が高まったという印象はあります。
  32. また個人と法人を切り分けられていなかったようなものが整理ができたことがとてもよかったです。一方で、初期コストがかかったこと、税務・労務などの手間が増えたことにストレスを感じることはありました。
  33. 本業で起業される方は最初から法人化した方が信用も作れるしストレスも少ないかもしれません(最初から「そういうものだ」と思えるから)。
  34. 一方で、副業で法人化を検討されている方は、ある程度事業が安定して道すじができてから法人化することをお奨めします。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL

2023年12月4日 月曜日

“高齢化と株式会社の未来:行方不明株主と廃業・解散の課題”

「少数株主から株式を買い取りたいが行方不明の人がいる。どうしたら良いか」という相談がありました。相談者は株式会社の創業者オーナーで、高齢のため引退したいと考えていますが、後継者がいないため、会社を売るか廃業するかを検討していました。過去に従業員に会社の株を与えていたこともあり、株が分散していました。行方不明の株主は、何十年も前に退職した従業員で、存命か否かもわからない状況です。

行方不明の株主がいる状況でのM&Aは、買い取る側としては好ましくないでしょう。そのまま廃業して解散しても、残った財産は株主への配当(残余財産の分配)となりますので、行方不明の株主への配当金は供託され、恐らく長く眠ることになるでしょう。

株式の譲渡などにより株主が変わった場合、新しい株主は会社に株主名簿の書換を請求する必要があります。株主は、株主名簿に自分の名前が記載されていないと、自分が株主であることを会社に主張することができません。よって、株主の行方不明などにより株主総会の招集通知が届かなかったとしても、株式会社は株主名簿の株主を自社の株主として扱えば良いので、通常の業務・運営に影響はありません。

ただし、株式を買い取るとなると、実際の株主を把握しないと買い取ることはできません。平成2年の商法改正までは、会社設立時に発起人が7名以上必要だったことから、今でも名義株や株式の分散の問題は残っていますが、その解決策として、①所在不明株主の株式の競売、②特別支配株主の株式等売渡請求、③株式併合の3つの方法があります。

①は、所在がわからない株主の株式を競売にかけることができます。ただし、その株主への通知が5年以上到着していない必要があります。株主総会を毎年開催している会社であれば、この前提が起きうる可能性がありますが、中小企業の多くは株主総会を開催していないので、この方法は難しいでしょう。

②は、総株数の90%以上を持つ株主が少数株主に売渡を請求できますが、請求するには単独で90%以上を持っている必要があります。経験則で言うと、100%持っている株主は多く見られますが、単独90%というケースはあまりないようです。株主総会の特別決議が3分の2以上の賛成であり、3分の2が1つのラインとしてあるためかもしれません。

③は、株式を併合(10株を1株に併合など)によって、少数株主を1株未満の株主にすることができます。1株未満となった株式は任意売却か競売で処理されます。ただし、全ての株式が同率で併合されるため、全体のバランスを見る必要があります。

東京商工リサーチによれば、2020年に全国で休廃業・解散した企業は4万9,698件(前年比14.6%増)で、2000年に調査を開始して以来最多を記録しました。休廃業・解散した企業の代表者の年齢別では70代が最も多く41.7%を占めていました。

この数年、解散登記の依頼が増えていますが、今後複雑な廃業・解散が増える可能性があると感じた一件でした。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL