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会社・経営

2024年3月1日 金曜日

外国人の会社設立と見えない壁

弊所では昨年から外国人の起業支援をしています。経営管理ビザを専門とする行政書士と連携し、私は会社設立登記を担当しています。出身は、ネパール、パキスタン、スリランカなどの南アジアの国の方が多いです。

ビジネスの内容は様々ですが、日本の中古品を本国や中東に輸出するビジネスが多いです。日本の中古車は人気でよく売れるそうです。商品の仕入れは日本の運送会社や建設会社などと交渉して中古車や中古機材を買い取っています。必要があれば解体までするそうです。

商品はネットオークションで販売して輸出します。日本製品の人気の理由はやはり「品質」です。一方、中国の製品は雑だから人気がないとのことです。「丁寧さ」や「細かさ」は日本らしさと再認識しました。

品質以外の日本の良さを聞いたところ、「システム」と言われました。製品のシステムの話ではなく、日本の社会システムのことです。ルール(法律・規則)がしっかりしているからフェアだし安全だと言われました。

例えばドバイではお金(賄賂)で交渉して問題を解決するそうです。日本のような細かいルールはないそうです。お金があれば解決できるが、金額は交渉力にかかってきます。そもそもお金がなければ解決できません。金持ちだけが優先され、金持ちが自分の横を通り過ぎていく、そんなアンフェアな世界にいる人たちにとって、日本は魅力的でしょう。

とはいえ、日本も課題はあります。まず、ビザが取れるか否かです。都道府県によって違いがあり、申請を(実質的に)受け付けてくれないところもあるそうです。逆に取りやすいところもあり、地域によって対応が違います。

もう一つの課題は住む場所と働く場所です。住居や事務所がなかなか借りれません。外国人というだけで貸してもらえないこともあるそうです。ただ貸す側としては短い期間のビザ(4カ月など)だと貸しづらいという事情あります(ビザが更新できないかもしれないから)。仕方ないので、日本にいる支援者が地方の古い物件を購入して貸しているケースもあります。

先日、地方の某県でパキスタン人の会社設立登記をするため現地の公証役場に定款認証の依頼をしました。そうすると、公証人から新会社の事業計画書を要求されました。日本人の設立では絶対に要求されません。そのパキスタン人の方がが本当にビジネスをするのか疑っているようでした。

2018年から会社設立の際に公証役場で反社チェックをするようになりました。マネーロンダリングや詐欺目的の会社設立を防ぐ目的で行われています。士業や金融機関も会社が犯罪目的に使用されないように関係者の本人確認を厳しくするように法律が変わりました。そんな世の中の流れもあるので疑う気持ちもわかりますが、さすがに過大な要求だなと思いました。

日本は住んでしまえばルールに守られ安心な国ですが、そこに至るまでに見えない壁があります。これまではそれでもよかったかもしれませんが、人口減少の最先端を走る国としてはそろそろ壁を壊していく必要があるでしょう。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL