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司法書士飯田ブログ

2024年8月30日 金曜日

他人は鏡

子供が生まれると、家庭の風景は一変する。
それまでの夫婦間の関係が変わり、日常生活に新たな役割や責任が加わることで、口論や喧嘩が増えることは珍しくない。

私自身、子供が生まれるまでは、夫婦間での口論はほとんどなかった。結婚式の準備中に一度大きな喧嘩をした程度である。
しかし、子供が生まれ、家庭の中での役割が増えるにつれ、家事育児の分担について話し合わなければならない場面が増えた。

特に、共働きの家庭では、家事や育児の分担を夫婦間でしっかりと話し合う必要がある。
しかし、それぞれ生活ペースが違うから、意見の食い違いやストレスが生じることがしばしばある。
ストレスが蓄積すると、些細なことであっても口論が起こりやすく、時には激しい言葉をぶつけ合うこともある。

子供が2人になり、下の子が2歳ぐらいになると子供同士の喧嘩が始まる。
おもちゃの取り合いに始まり、叩き合いになってどちらかが泣く。
子供の喧嘩を止めるために親が入って叱る、という日々の連続。

子供が小学生になると、やることが格段と増える。
学校の準備をしたかどうか、宿題をしたかどうかなどで、親と子供の口論も増える。
家庭内は毎日戦争状態、ストレスが溜まる日々が続く。

ある日、娘が小学校から帰ってきて、ランドセルや手提げ袋を散らかしたまま遊んでいるのでイラっとして思わず叱った。
そうすると、娘が睨んだ目で反論してきた。その目と言い草が自分そっくり。
その時「しまった」と後悔した。

さらに先日、娘と妻の口論を聞いていると、娘の姿は見事に親のコピーだった。
「子は親の鏡」とはよく言ったもの。夫婦や親子で喧嘩が起きるほど、未来の自分を苦しめると思うと背筋が寒くなった。

仕事でも似た話はある。
揉め事の当事者の言い分を聞いていると「あいつは金目当てなんですよ」と相手を批判する人がいるが、そういう人ほどお金に執着していることが多い。
他人は鏡、他人に不満を感じたらそれは自分自身だと思った方がいい。

イタリアの教育者マリア・モンテッソーリは「大人と子どもの戦い」をやめることが平和への一歩となると説いた。
周囲に不満を感じることは日々あるが、「他人は鏡」であるという視点で自分自身を見つめ直し、自分の行動を改めることで、自分から平和が始まっていくのではないだろうか。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL

2024年8月2日 金曜日

新紙幣とタンス預金

この7月、新紙幣が発行されました。新紙幣は、千円札、五千円札、一万円札の全てが刷新され、デザインとセキュリティ機能が一新されました。
新紙幣が発行されても、これまでの旧紙幣が直ちに無効になるわけではありません。引き続き使用することができます。日本銀行では、明治18年から現在までに56種類の銀行券を発行してきました。これらのうち現在発行している種類の他、既に発行されなくなった種類を含めて現在25種類の銀行券が有効です。昔あった100円札や1円札も有効です。
もちろん、旧紙幣の流通は徐々に減少していき、いずれ使用されなくなります。2,000円札がわかりやすいですが、法的に有効でも使用されなければ流通しなくなります。使用されなくなるのは、過去の例から考えると10年程度のようです。
使用されなくなった旧紙幣は日本銀行の本支店で交換できます。手数料はかかりませんが、日本銀行の窓口は少なく、窓口がない都道府県もあります。


新紙幣の発行では「タンス預金」にも注目が集まります。日本のタンス預金の総額は数十兆円に上ると言われています。
タンス預金は特に高齢者の間でその傾向が顕著です。要因は様々あるでしょうが、日本の成長期と共に所得を得てきたこと、バブルを経験して投資にリスクを感じていること、今の預金利息が低いこと、デジタル化に追いついていないことなどがタンス預金を支持する一因となっています。
新紙幣の発行には、タンス預金をあぶり出す効果も期待されています。旧紙幣はいずれ使えなくなるので、多くの人々が銀行に旧紙幣を持ち込んで交換を行うことになるでしょう。これにより、これまで隠されていた大量の現金が表に出てくる可能性が高まります。
相続税対策でタンス預金をしている人もいます。具体的には、現金を自宅に保管しておいて、相続財産として申告しない、もしくは少額に見せかけるという手法です。もちろんこれは脱税になるので、税務署に見つかれば厳しい罰則が科されます。
税務署には預金口座の調査権限があり、相続税の調査の際には被相続人やその家族の預金口座の動きを過去に遡ってチェックします(過去10年程度)。銀行は税務署から預金口座の問合せがあれば他の業務を差し置いて回答するそうです。なので、タンス預金として現金を引き出していた場合でも、その引き出しの記録から隠し財産が発覚する可能性はあります。
良からぬことを考える依頼者がいると、困るのは税理士や我々司法書士です。いずれも銀行の調査権限もないし、依頼者の家のタンスを調べるわけにもいきません。嘘をつき通してくれればいいかもしれませんが、中途半端に打ち明けられるとしばらく悩むことになります。
この新紙幣の発行を契機に、現金の管理や相続について見直す機会となればいいですね。また、新紙幣への切り替えを通じて、透明性の高い金融環境が実現することを期待しています。

投稿者 リーガルオフィス白金 | 記事URL